リレーコラムについて

職場怪談③ ~絶叫餅~

堀内有為子

会社のデスクに
出張のお土産などを入れておく
部のお菓子ボックスがあります。

お腹が減ったときに
おいしいお菓子を見つけると
幸運だなぁ、なんて思ってしまうんですが…

ザァーーーーー

強い雨が降っていたその日、
Tさんがお菓子箱を物色しにやってきました。

カサカサ
コソコソ

「腹減ったけど飯にも出たくないし。これもらうぞ」

文字校をしていた私は
顔を上げずに「どうぞ」と答えました。

「これ、どこのお土産?餅だよな。」

餅ってことは、
先週わたしが名古屋で買ってきた
“なが餅”に違いない。

「それは、名古屋のなが餅ですよ~」

パソコンから目を離さず答えると
「名古屋にこんなのあったっけ?」

うわの空で聞きつつ、
区切りのいいとことまで
と執拗に文字を追っていた、その時、
ある言葉が耳に飛び込んできたのです。

「このカラフルな餅、はじめて見た」

カラフル?

「ほな、なが餅と違うかぁ~
なが餅は、つぶ餡を白い搗き餅でくるんだお餅やから…」

カ・ラ・フ・ル!?

心で叫び、ガバッと振り返ると
言葉通りカラフルな餅を
口にもっていこうとするTさん。

やめて~

気づくと絶叫していました。
その絶叫でオフィスが凍りついたとか、つかなかったとか。

 

 

あんなにも美しいカビには
それ以来、出会ったことがありません。

 

 

戦国時代からつづく名古屋銘菓「なが餅」、
名古屋に行かれたらぜひご賞味ください。
ただし、消費期限は製造日から3日だということです。

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